東京圏へ不動産マネー流入量世界一
2024年上半期、世界の不動産投資において、日本の首都圏が前年同期比19%増の1102億ドルと世界首位を獲得しました(1〜6月の世界の不動産投資額、首都圏が首位 JLL調べ 日本経済新聞電子版)。インバウンド回復や円安を追い風に、ホテルやオフィスビルへの投資が活況を呈し、世界中から投資マネーが流入しています。
一方、同じ日本経済新聞電子版は、日本の住宅価格が、収入に対する比率でOECD諸国の中で最低水準であることを指摘しています(日本の住宅価格、収入比では割安 OECD平均下回る背景 日本経済新聞電子版 2024年8月13日 2:00)。世界が注目する投資対象であるにもかかわらず、国内の住宅市場は低迷しているという、一見矛盾する状況が存在するのです。
本稿では、これら二つの記事を統合し分析することで、日本の不動産市場が抱える構造的な問題点と、秘めた可能性についてAIの助けを借りて考察していきます。
(日本の住宅価格~についての考察記事はこちら 日本の住宅価格、収入比では割安←富山は住宅情報の整備とビジネスフレンドリー政策を)
割安な日本住宅 – 構造問題と投資戦略の不在 –
日本経済新聞電子版の記事は、日本の住宅市場が抱える矛盾を浮き彫りにしています。OECDのデータによれば、収入に対する住宅価格の比率は、日本は先進国の中で最低水準にとどまっているのです。
なぜ、世界中から投資マネーが集まるほど魅力的な日本の不動産市場において、住宅価格だけが割安な状態なのでしょうか?
その答えは、日本の住宅市場が抱える構造的な問題点と、海外投資を戦略的に活用できていない現状にあります。
1. 根強い新築志向と中古住宅市場の未成熟
日本では、新築住宅を好む傾向が根強く、中古住宅市場は活性化していません。その結果、空き家が増加し、住宅価格の上昇が抑制されているのです。OECDのデータでは、日本の空き家率は13.0%と、米国(8.4%)や英国(5.4%)を大きく上回っています。
2. 情報不足と透明性の低さ
日本の不動産情報は、海外投資家にとって入手が難しく、透明性も低いという課題があります。建物状況調査の義務化や、住宅履歴情報の整備などが遅れており、海外投資家にとって安心して投資できる環境が整っていません。
3. 海外投資の誘導不足
日本政府は、海外からの投資を積極的に誘致していますが、その多くは首都圏の不動産に集中しています。地方の魅力を発信し、投資環境を整備することで、海外投資を地方にも呼び込む必要があります。
日本は「宝の持ち腐れ」状態 – ポテンシャルを解き放つために –
日本の住宅市場は、世界から注目される投資対象であるにもかかわらず、そのポテンシャルを十分に活かせていない「宝の持ち腐れ」状態にあります。
この状況を打破し、世界から選ばれる真の不動産大国となるためには、以下の3つの戦略的な取り組みが不可欠です。
1. 中古住宅市場の活性化:
- 建物状況調査の義務化、住宅履歴情報の整備など、情報公開を推進し、透明性の高い市場を構築する。
- 不動産取引のデジタル化を進め、海外投資家にとってより分かりやすく、取引しやすい環境を整備する。
2. 地方への投資促進:
- 地方の魅力を多言語で発信するウェブサイトやパンフレットを作成し、海外メディアを対象としたスタディツアーなどを実施する。
- 税制優遇措置や規制緩和など、海外投資家が投資しやすい環境を整備する。
- リモートワーク環境を整備し、地方への移住を促進する。
3. 長期的な視点に立った政策:
- 短期的な利益にとらわれず、持続可能な住宅市場の構築を目指した長期的な視点に立った政策が必要となる。
- 海外投資家との継続的な対話を通じて、日本の不動産市場に対する理解を深めてもらう努力も重要となる。
日本は、世界でも有数の経済大国であり、安全で暮らしやすい国としても知られています。これらの強みを活かし、世界から選ばれる不動産大国を目指すべきです。