最近の物価上昇に対して、所有している土地の価値がどうなるのか不安に思っていませんか?「物価が上がれば土地の値段も上がる」と考える方も多いですが、実際にはそう単純なものではありません。
近年、物価が上昇する一方で、地域によっては地価が下落したり、物価上昇率に追いつかないケースが見られます。今回は、物価と地価の関係に焦点を当て、今後の土地の価値について考えてみましょう。
1. 物価上昇は地価上昇の追い風とは限らない?
リスク資産だが物価とともに上がるとは限らない
一般的には、物価が上昇すると通貨の価値が下がり、資産価値を保全するために不動産への投資が増えるとされています。しかし、物価と地価は必ずしも連動するわけではありません。日本ではバブル崩壊後、地価が低迷し続けた一方で、物価は緩やかに上昇するなど、両者の動きが一致しない例が少なくありません。
なぜ物価上昇時でも地価が下落するのか?
物価が上昇しても地価が下落したり、物価上昇率に追いつかない要因には以下のようなものがあります。
- 需要と供給のバランス: 人口減少や高齢化が進む地域では住宅需要が減少し、地価が下落することがあります。
- 地域経済の状況: 企業の撤退や工場の閉鎖などで地域経済が低迷し、住宅需要が低下することで地価が下がる場合があります。
- 金利動向: 住宅ローン金利が上昇すると、住宅購入が難しくなり、地価の下落要因になることがあります。
- 投資マネーの動向: 国内外の経済状況や投資家心理により、不動産市場に資金が流れない場合、物価上昇があっても地価は上がりにくい状況になります。
高岡、富山の地価推移
ちなみに、物価と富山、高岡地域の地価の推移です。
3. 物価上昇でも地価が横ばい・下落… あなたの土地はどうすべきか?
物価が上昇しても土地の価値が上がらない、あるいは下がる場合、どのように対処すべきでしょうか?ここでは二つの選択肢を考えてみます。
【選択肢1】売却を検討する
こんな場合におすすめ:
- 相続で所有しているが、利用予定がない。
- 固定資産税や維持費が負担になっている。
- 地価がさらに下落するリスクが高いと予測される。
【選択肢2】保有を続ける
こんな場合におすすめ:
- 将来的に自分や家族がその土地を利用する計画がある。
- 賃貸住宅を建設して収益物件として活用を検討している。
- 長期的に地価の上昇を見込んでいる。
4. どちらの選択肢が最適か?
不動産は、1対1の相対取引で行われるため、購入希望者がいなければ売却できず、流動性に乏しい側面があります。また、不動産を所有しているだけで固定資産税や都市計画税といった税金が毎年発生します。将来的な値上がりは不確定ですが、税金の支払いは確実です。
資産は不動産に限らず、現金、株式、債券、あるいは他の実物資産として保持することも可能です。地価が下がっている地域で不動産を保有する場合、税金負担を考慮すると、物価とともに価値が上昇する資産との格差は拡大していきます。
そのあたりを考慮しましょう