不動産価格指数最新5月データに見る住宅市場、方向感に乏しい展開

8月29日に国土交通省から公表された不動産価格指数によれば、現時点で最新となる5月の住宅市場は一進一退の展開となりました。公的統計は集計・公表に一定の時間を要するため、この5月の数値が足元の市況を判断する上での最新の指標となります。指数を見ると、3月に前月比3.1%と大きく上昇した後、4月には同3.2%下落。そして最新の5月は同0.3%の小幅な上昇に留まっており、市場全体の方向感は定まっていません。

リンク:国土交通省不動産価格指数

マンション価格は底堅く、戸建ては調整局面か

物件種別で内訳を見ると、市場の様相は大きく異なります。特に価格上昇を牽引してきた区分所有マンションは、4月に一時的な調整を見せたものの、5月には再び同1.7%の上昇に転じ、底堅さを示しました。中でも東京都は同4.2%増と力強い伸びを見せており、都心部や主要都市圏におけるマンション需要の根強さがうかがえます。一方、戸建住宅市場は不安定な動きが続いています。3月の急騰から一転、4月、5月と2ヶ月連続で下落しており、資材価格の高騰などを背景とした調整局面にあると見ることもできます。

オフィス不振が続く商業用不動産、今後の市場展望

住宅市場とは対照的に、商業用不動産(最新は25年第1四半期分)は二極化が鮮明です。テレワークの定着などを背景にオフィスが前期比6.6%減と大きく下落した一方で、インバウンド需要の回復などから店舗は同1.3%増、賃貸需要が堅調なマンション・アパート(1棟)は同2.2%増となりました。総じて、住宅市場は高騰を続けてきたマンション価格が依然として市場全体を下支えする一方、戸建市場を中心に価格の変動が大きくなっており、先行き不透明感は拭えません。今後の金融政策の動向や景気の先行きの注視が必要です。

首都圏マンション市場、新築・中古で鮮明になる「二極化」の様相

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