富山県の不動産市場は、現在どのような状況にあるのでしょうか? 最新の不動産DI調査結果(富山県の地価動向と不動産取引の動向
に関するアンケート調査結果 2024年3月、9月実施)を基に、住宅、商業地、賃貸物件それぞれの現状と今後を、不動産に詳しくない方にも分かりやすく解説します。
Youtubeのサクッと解説はこちら:富山県不動産DI 一部改善しているものの全体としては悪化傾向 2024年9月の結果
住宅地価:都市部と地方の二極化が鮮明に
住宅地の地価は、県全体で見ると9月時点で半年前より改善しました。しかし、これは主に氷見市の地価が持ち直した影響によるものです。氷見市は1月に発生した地震で地価が大きく下落しましたが、9月時点では回復傾向が見られました。
一方、氷見市を除くと、県全体の住宅地価はむしろ悪化傾向にあります。特に富山市中心部以外の地域では下落傾向が続いており、都市部と地方の二極化が鮮明になっています。
富山市がけん引
富山市中心部では、再開発やマンション建設などの影響で地価が上昇しています。今後もこの傾向は続くと予想されますが、上昇の勢いは鈍化する可能性も示唆されています。地方都市では、人口減少や高齢化の影響で空き家が増加し、地価の下落に歯止めがかからない状況です。
商業地価:住宅地と同様の傾向
商業地の地価も、住宅地と同様に県全体では改善傾向ですが、氷見市の回復が大きく影響しています。富山市中心部も地価は上昇しており、今後も上昇傾向が続くと予想されます。
しかし、高岡市や射水市などは横ばいであり、商業地の地価も二極化の傾向が見られます。地方都市では、中心市街地の空洞化や郊外への大型商業施設の出店などにより、商業地の地価が低迷している地域も少なくありません。
取引件数:現状維持から減少の予測も
住宅地の取引件数は、現状では横ばいですが、半年後には減少すると予測されています。地域によって差が大きく、氷見市は大きく増加した一方、魚津市や南砺市は減少しています。全体としては、活発な地域と低迷する地域が混在する不安定な状況と言えるでしょう。
商業地の取引件数は、住宅地と比べて活発化しているものの、半年後の予測は悪化傾向です。黒部市・下新川郡では増加が見られた一方、南砺市は大幅に減少しました。商業地もまた、地域によって取引状況が大きく異なっています。
賃貸市場:家賃下落、空室増加の傾向
共同住宅(アパート・マンション)の家賃は、下落傾向にあります。富山市中心部では現状維持もしくは微増の予想もあるものの、地方都市では下落傾向が強まっています。空室率も悪化傾向にあり、特に魚津市、滑川市、射水市、氷見市では増加が顕著です。
店舗・事務所も同様で、家賃は下落傾向にあります。地方都市では下落幅が大きく、空室率も高い水準で推移しています。富山市中心部では、オフィス需要の高まりから空室率は比較的低いものの、家賃は下落傾向にあります。
今後の見通し:不透明感が漂う市場
富山県の不動産市場は、現状は一部で改善が見られるものの、半年後の予測では悪化が見込まれる項目が多く、先行きの不透明感が強いです。金利上昇や物価高騰、建設費の高騰といったマクロ経済要因に加え、人口減少や高齢化といった構造的な問題が不動産市場に複合的に影響を与えていると考えられます。
特に地方都市では、人口減少と高齢化が深刻化しており、空き家や空き地の増加に歯止めがかからない状況です。このことが地価下落や取引減少につながり、不動産市場の二極化をさらに加速させる可能性があります。
富山県で不動産を購入・賃貸する際のポイント
富山県で不動産の購入や賃貸を検討する際には、以下の点に注意することが重要です。
- 地域特性の把握: 富山市中心部と地方都市では、地価や賃貸相場が大きく異なります。それぞれの地域特性を把握した上で、自分に合った物件を選ぶようにしましょう。
- 物件情報の収集: 複数の不動産会社に問い合わせるなど、物件情報を幅広く収集するようにしましょう。インターネットや情報誌なども活用し、市場の動向を把握することも大切です。
- 資金計画の策定: 不動産を購入する際には、資金計画をしっかりと立てることが重要です。住宅ローンを利用する場合には、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
- 専門家への相談: 不動産取引は専門知識が必要となる場面も多いため、必要に応じて不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するようにしましょう。
富山県の不動産市場は、地域によって状況が大きく異なります。購入や賃貸を検討する際には、最新の市場動向を把握し、慎重な判断を行うようにしましょう。