住宅ローン金利上昇、不安の声多数
読売新聞によると、三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行が、住宅ローン金利(変動型)の基準となる短期プライムレート(短プラ)を約17年ぶりに引き上げました。(変動型住宅ローン金利上昇へ、連動する短プラを3メガ銀が17年ぶりに引き上げ年1・625%に)
これは、住宅ローン金利が今後上昇していくことを意味し、住宅購入を検討している方、既にローンを組んでいる方々から不安の声が上がっています。
この記事では、メガバンクの住宅ローン金利引き上げの背景や、住宅ローン利用者が取るべき行動について解説していきます。
急変する住宅ローン:あなたに合った選択は?←日本経済新聞より
なぜ金利は上がるのか?
日銀の利上げが原因
今回の金利上昇の背景には、日本銀行による金融政策の転換があります。
長年、日本銀行はデフレ脱却を目指し、異次元緩和と呼ばれる政策を続けてきました。
しかし、この政策は副作用として、歴史的な円安や物価高騰を引き起こしてしまいました。
そこで、日本銀行は政策の見直しを行い、金融緩和の修正に舵を切りました。
その結果、市場金利が上昇し、住宅ローン金利にも影響が出始めているのです。
メガバンクに追随するように、金利上昇は続く見込み
メガバンク3行が短プラを引き上げたことを受け、他の金融機関も追随する形で金利を引き上げていくことが予想されます。
実際に、インターネット銀行の中には、メガバンクに先駆けて金利を引き上げているところもあります。
今後、住宅ローン金利は上昇傾向が続く可能性が高く、注意が必要です。
住宅ローン金利上昇で、家計への影響は?
住宅ローン金利が上がると、住宅ローンの返済額が増加します。
例えば、3,000万円の住宅ローンを35年返済、金利1%で借りた場合、毎月の返済額は約8.4万円ですが、金利が2%になると約9.9万円と、毎月約1.5万円も負担が増える計算になります。
焦る気持ちはわかるけど…本当に早めに返済すべき?
- 「金利が低い今のうちに家を買っておくべきか…」
- 「金利上昇前に、少しでも多く返済しておいた方が良いのでは…」
- 「住宅ローンは少なくすべき?」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、個々の状況によって最適な選択は異なるため、一概には言えません。
住宅ローンを早めに返済することは、一見正しい選択のように思えますが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、住宅ローンは長期的な返済計画のもとで組まれていることが多く、繰り上げ返済によって家計の負担が大きくなりすぎてしまう可能性もあるからです。
住宅ローンはなるべく多く組む
インフレ時代には借金の価値は減少する
結論から言うと、私は「住宅ローンはなるべく多く組むべき」と考えています。
「え、借金は少ない方が良いんじゃないの?」
そう思われた方もいるかもしれません。もちろん、借金は少ないに越したことはありません。しかし、現在の経済状況を考えると、必ずしもそうとは言い切れないのです。
なぜなら、今はインフレだからです。
インフレとは、モノやサービスの価格が全体的に上昇していく現象のことです。インフレになると、お金の価値は目減りしていきます。
例えば、あなたは1,000万円を現金で持っているとします。
もし、インフレ率が年間2%だとすると、1年後にはあなたの1,000万円の価値は、980万円に目減りしてしまう計算になります。
一方、住宅ローンなどの借金はどうでしょう?
住宅ローンを1,000万円借りていたとします。
インフレによってお金の価値が目減りしていくということは、裏を返せば、同じ金額の借金の価値も目減りしていくということです。
つまり、インフレによって、実質的に借金の負担は軽くなっていくと言えるのです。
これは住宅ローンに限った話ではありません。
インフレ下では、低金利でお金を借りて、そのお金で価値が上昇する資産に投資をすることが有効な資産運用戦略となります。
例えば、住宅ローンを組んで浮いたお金で株式や投資信託を購入した場合を考えてみましょう。
インフレによって物価が上昇すると、企業の売上や利益も増加する傾向があります。
その結果、株価や投資信託の基準価格も上昇し、利益を得られる可能性が高まります。
一方、住宅ローンの借入金は、インフレによって目減りしていきます。
つまり、借金の額面は変わらないのに、運用で得られる資産価値は上昇していくという、有利な状況を作り出すことができるのです。
住宅ローンを活用して自己資金を温存し、投資に回すことは、インフレによる資産価値の目減りをカバーするだけでなく、長期的な資産形成にも繋がります。