首都圏マンション市場、新築・中古で鮮明になる「二極化」の様相

首都圏のマンション市場が、新たな局面を迎えています。中古市場では取引が活況を呈し価格上昇が続く一方、新築市場は供給が絞られる中で価格が過去最高値を更新。一見、力強い市場に見えますが、その内実を紐解くと、消費者の行動変容と市場の構造変化が浮き彫りになります。最新のデータを基に、現在の市場動向と今後の展望を解説します。

動画はこちら:首都圏マンション市場、新築;中古で鮮明になる「二極化」

活況を呈する中古市場:旺盛な需要が価格を押し上げる

まず注目すべきは、中古マンション市場の力強さです。(公財)東日本不動産流通機構が発表した2025年6月のデータによると、首都圏の中古マンション成約件数は前年同月比31.9%増の4,299件と、8ヶ月連続で増加しました。特に東京都(+29.8%)をはじめ、埼玉県(+47.1%)、神奈川県(+40.5%)など、すべての地域で2桁増を記録しており、広範なエリアで需要が拡大していることが分かります。

この需要を背景に、価格も上昇の一途を辿っています。1平方メートル当たりの平均成約単価は62ヶ月連続、1戸当たりの平均成約価格(5,209万円)も8ヶ月連続で上昇しました。

この背景には、後述する新築マンションの供給減と記録的な価格高騰があります。新築に手を出しにくくなった購入層が、より現実的な選択肢として条件の良い中古物件へとシフトしているのです。その結果、中古市場においても需要が供給を上回り、価格が押し上げられるという構図が生まれています。

一方で、平均専有面積は62.50平方メートルと前年より1.7%縮小しており、価格高騰の中で消費者が広さをある程度妥協せざるを得ない状況も見て取れます。旺盛な需要に支えられ、当面、中古市場の堅調なトレンドは続くと考えられます。

新築市場:供給減と価格高騰、消費者の購買力に試練

対照的に、新築マンション市場は異なる様相を呈しています。(株)不動産経済研究所の発表によると、2025年上半期(1〜6月)の首都圏における発売戸数は8,053戸と、前年同期比で11.2%減少し、4年連続のマイナスとなりました。用地取得の困難化や高騰し続ける建築コストが、デベロッパーの供給意欲を慎重にさせていることが主な要因です。

供給が絞られる一方で、価格は異次元の上昇を見せています。上半期の1戸当たり平均価格は8,958万円(前年同期比+16.7%上昇)と、2年ぶりに上昇し、上半期としては過去最高値を更新しました。

しかし、この価格高騰は消費者の購買力を試すレベルに達しつつあります。上半期の初月契約率は66.6%と、好不調の目安とされる70%を下回りました。高額な価格設定に対し、消費者が即決をためらう「買い疲れ」や「様子見」の姿勢が広がり始めている可能性を示唆しています。

下半期には東京23区で大規模物件の供給が予定されており、年間の供給戸数は前年並みの約2万3,000戸に着地する見込みですが、高値圏で推移する価格が契約率にどう影響するか、市場の真価が問われることになります。

投資市場も堅調、ただし利回りは低下傾向

実需だけでなく、投資市場も活発です。健美家(株)のレポートによれば、2025年4〜6月期の収益用区分マンション価格は3四半期ぶりに上昇に転じ、1棟アパートや1棟マンションの価格も続伸しています。

これは、低金利環境とインフレヘッジの観点から、不動産が依然として魅力的な投資先と見なされていることの表れです。しかし、物件価格の上昇に伴い、投資利回りは軒並み低下傾向にあります。これは、家賃収入(インカムゲイン)よりも、将来の売却益(キャピタルゲイン)への期待感が価格を支えている側面が強いことを意味します。投資家は、よりシビアな利回り計算と出口戦略を求められるでしょう。

まとめ:市場の潮目を読む重要性が増す局面へ

現在の首都圏マンション市場は、**「活況な中古」「供給難・超高価格化の新築」**という二極化が進んでいます。この流れは、新築価格の高止まりが続く限り継続する可能性が高いでしょう。

消費者は、新築にこだわらず中古も視野に入れる柔軟な物件探しが求められます。一方、事業者にとっては、高騰したコストを価格に転嫁しつつ、消費者の購買力を見極めるという難しい舵取りが続きます。

今後の市場を占う上でのキーポイントは、**「金利の動向」「建築コストの推移」、そして「消費者の所得と購買マインド」**です。市場は依然として強いエネルギーを保っていますが、その足元では価格水準の高さから変化の兆しが見え始めています。今はまさに、市場の潮目を注意深く見極めるべき重要な局面と言えるでしょう。

参照記事:首都圏マンション:供給は過去最少、価格は過去最高

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