2024年9月の主要都市圏における戸建て住宅価格動向を見てみると、中古住宅市場の活況が顕著で、新築住宅市場は地域によって明暗が分かれる結果となりました。全体としては、中古住宅の人気が高まり価格が上昇傾向にあり、新築住宅は首都圏を中心に低迷している状況が浮き彫りとなっています。
首都圏
都心回帰の動き?中古住宅人気が加速
首都圏では、中古住宅市場の活況が継続しており、平均価格は前月比で3.1%上昇しました。特に、東京都心へのアクセスが良い埼玉県では、3ヶ月連続で価格が上昇しており、9月は1.2%の上昇を見せています。背景には、コロナ禍を経て都心回帰の動きが加速していることや、新築住宅に比べて価格が割安感があることなどが挙げられます。
新築は厳しい
一方、新築住宅市場は厳しい状況が続いています。東京都では前月比で5.5%もの大幅な下落となり、平均価格は5300万円台と、高止まりしている状況です。建築資材の高騰や人手不足の影響で、新築住宅の供給が追いついていないことも価格低迷に拍車をかけている可能性があります。
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近畿圏
京都で中古住宅価格が14.8%高騰!その理由は?
近畿圏でも首都圏と同様に、中古住宅市場は活況で、全体で3.9%の上昇を見せています。中でも注目すべきは京都府です。京都府の中古住宅価格は前月比で14.8%も高騰しており、平均価格は3903万円台と、大きく上昇しています。
京都で価格上昇した理由
京都府の中古住宅価格高騰の背景としては、コロナ禍で減少していた観光客が戻りつつあり、それに伴って宿泊施設の需要が高まっていることが考えられます。また、歴史的な街並みが魅力の京都では、古民家をリノベーションした住宅に人気が集まっていることも価格上昇の一因と言えるでしょう。
新築住宅市場は、大阪府、兵庫県、京都府の全てで価格が下落しており、中古住宅市場とは対照的な動きを見せています。
中部圏・宮城県・福岡県:地域による動向の違いが鮮明に
中部圏
中部圏では、新築・中古ともに価格が下落しており、首都圏や近畿圏とは異なる動きを見せています。中古住宅市場は3.1%の下落となり、平均価格は2510万円となりました。これは、中部圏では新築住宅の供給が比較的安定していることや、中古住宅市場において価格上昇を促すような要因が少ないことなどが考えられます。
宮城県は上昇
宮城県の中古住宅市場は活況で、価格が6.0%上昇と、高い伸びを見せています。平均価格は2633万円となり、東日本大震災からの復興需要が依然として根強く残っていることに加え、近年では首都圏からの移住者も増加していることが影響していると考えられます。
福岡は下落
一方、福岡県は新築・中古ともに価格が下落しています。中古住宅市場は1.7%の下落となり、平均価格は247万円となりました。福岡県は近年、人口増加と都市開発が進んでいることから、新築住宅の供給が需要を上回っている可能性があります。
まとめ:住宅取得はニーズに合わせた選択を
2024年9月の戸建て住宅価格動向は、中古住宅市場の活況と新築住宅市場の低迷という二極化が鮮明に表れる結果となりました。住宅取得を検討する際には、それぞれの市場の動向を踏まえ、予算やライフスタイルに合わせた選択をすることが重要です。